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【ご報告】平成28年6月2日(木)KGIフォーラム設立記念・対話型講演会「けいはんな丘陵からグリーンイノベーションの風を!」を開催しました

2016/06/17 21:18 に KGI事務局 が投稿   [ 2016/06/25 2:01 に更新しました ]
6 月2日(木)午後 3 時 10 分から、けいはんなオープンイノベーションセンター(KICK)2 階「シアター」において、100 名を超える多数の参加者を得、第 3 回『KGIフォーラム設立記念・対話型講演会「けいはんな丘陵からグリーンイノベーションの風を!」』が開催されました。
 本講演会は、「“もう一つの文明”を構想する人々と語る日本の未来」を共通テーマとして開催されている連続講演で、昨年 11 月の第 1 回、本年 3 月の第 2 回開催に続くものです。今回は、京都スマートシティエキスポ 2016「連携プログラム」であったことから、その最中、「都市の在り方を問う・・・。「農的」世界と「工的」世界を結ぶもの」をテーマとして開催されました。その概要をご報告します。

日時: 平成28年6月2日(木) 15:10〜17:30
場所: けいはんなオープンイノベーションセンター(KICK)2階「シアター」

※当日のプログラムはこちらをご覧ください。 
※会員の方はこちらから詳しくご覧いただけます。


 主催者を代表して、けいはんなグリーンイノベーションフォーラム(KGIフォーラム)代表代行の池内了先生から、資源有限時代を生きるには、地下資源文明から地上資源文明へと舵を切る必要がある。小型化、多様化、分散化などを理念とする“もう一つの文明”を皆さんと共に探求したい、旨の挨拶がありました。
 講演会では、鼎談、参加者との意見交換に先立ち、秋山先生、長尾先生、千田先生から、それぞれご講演をいただきました。


次代を拓くためには、個人レベルの生活を基礎として、一人ひとりが、その五感を磨くことが肝要。
「大地」に触れる農作業の試みは、その一つ。

秋山豊寛先生 (京都造形芸術大学芸術学部教授 日本人初の宇宙飛行士)
特別講演:「大地との対話から始まる未来」

■ 農作業それ自体が芸術活動。農作業で感性を磨く。
田畑を耕し、草刈りをする。そうした農作業そのものが美しい風景をもたらす。
豊かな実りをもたらす。豊かな感性を養う。これらの行為自体が芸術活動と言える。農業作業の近代化効率化によって生み出された余暇を活用しての各種の創作活動。これは「農民芸術」の本質ではない。美しい村は、美しく暮らしたいと思う人々が暮らす村から生まれる。全ては、暮らしを整えることから始まる。

■ 「経済力」よりむしろ「自然力」の上手な活用が人々の豊かな暮らしを拓く。
21世紀に求められるデザイン、その源は自然との共生にある。自然力を生かした生活の追求がこれからの生き方である。太陽光発電も、風力発電も意味のあることではあるが、その導入には多額の資金が要る。それに比べ小水力発電は多額の資金を要しない。簡素で身の丈に合った技術である。これは“経済成長”とは異なる、もう一つの路線。1%の富裕層が世界の富の過半を占有する世界とは異なる道。99%の人々を豊かな世界へと導く道である。

■ 「文字文化」とは別の「触れる文化」で、身体的楽しさを生活に。
都市の競争的社会一辺倒ではなく、農村の共生的社会に人々を誘うことにも重要である。大規模農業の推進でなく、「小農」の再生によって農村社会を維持していくことも重要である。そこには大地に触れる生活、田んぼのぬかるみに触れ、そのとろみを感じる豊かな生活がある。そうした、大地に息づく命の賑わいを楽しむ心こそ愛おしい。「遊びをせんとや生まれけむ・・・(梁塵秘抄)」。一人ひとりの、生活を楽しむ心持ちが基本である。





自然に囲まれた生活環境の中でこそ、人間は、創造性を発揮する。
「林間都市」の実現の試みを、このけいはんな学研都市で。

長尾 真先生 (公益財団法人国際高等研究所長 京都大学元総長)
記念講演:「未来の都市は、“林間”に。―「林間都市」実現の夢」

■ 2050 年には 30 億人が都市民。都市の再設計が不可欠。
自然を失った人工都市は人間性や創造性を失わせ知的生産活動を低下させる。また未来を担う子供たちの健全な発達を阻害する。それに付けて、「田園都市」(1898 年、エベネザー・ハワード提唱)を想起する。「林間都市」実現への思いが募る。

■ ICT 技術の発展で、人間性豊かな社会構築の条件が成熟。
日本はこれから人口減少社会に向かうが、あらゆる分野にロボットが導入され社会活動や企業の生産性が向上すれば、知的生産活動とサービス中心の社会となる。労働時間は短縮され、ワークシェアリングが行われ、社会インフラとしての情報通信技術や自動走行交通機関の発展とそのコストの低廉化によって、どこに住んでいても仕事ができ、在宅勤務が十分に成り立つ社会を実現することができる。そうすれば自然豊かな林間に住み健全な人間性を回復し、効率性の高い社会活動、企業活動を実現することができるだろう。

■ 次代に相応しい都市モデルを、けいはんな学研都市で。
次代は、資源有限の地球、循環型定常社会へと向かわざるを得ない。アメリカ型ではなく、デンマーク型の都市設計思想がふさわしい。けいはんな学研都市を、そのモデルとして発展させてゆくことはできないか。






自然エネルギーの利用には、人間社会と同期させる工夫が不可欠。
オンサイト型ソフトエネルギーパスの実現に向けた技術開発を。

千田二郎先生 (同志社大学理工学部教授 けいはんなグリーンエネルギー研究所長)
テーマ講演:「都市静脈系と農村・林間資源によるエネルギー持続社会の可能性」

■ 人類は、250 年で地球 45 億年の蓄積エネルギーを蕩尽
現代人は、地球のネルギーの蓄積速度をはるかに超える速度でエネルギーを使用している。現在、我々の文明生活を支えている化石系資源(石炭・石油・天然ガス)は有限であり、いつかは枯渇する。同時に、化石系資源の HC の燃焼 CO2 などの温顔化ガスによる地球温暖化が進行している。

■ ハードパス(大規模集中型)からソフトパス(小規模分散型)へ。
エネルギー問題は、都市構造に大きく依存している側面がある。欧米の構造は自律分散協調型、日本のそれは中央集中指令型。化石系資源に依存しないエネルギーシステム、自然エネルギー最大化、さらには地上に存在するグリーンエネルギー利用によるエネルギー自立/自律化が必要である。

■ 地域のエネルギー自立度の向上を目指して、社会実証を。
我々の居住区や都市生活領域からの廃棄物(都市静脈系)である有機性廃棄物、一般産業廃棄物などのいわゆるゴミ、下水汚泥、糞尿などを完全に無公害プロセスで燃料化し、さらに農村・林間領域での地産グリーンな資源とともに、地産エネルギーとしてオンサイトでコジェネ利用して熱電併給で地消する。そうした資源循環型社会の可能性を探っていきたい。





次世代の都市・まちは、自律分散型で、多様性に富んだ社会。
そのためにも推進主体の整備、そして分野横断的な新たな「学」の創出を。

各ご講演の後、池内先生の司会の下に、秋山先生、長尾先生、千田先生による鼎談、そして参加者との意見交換が行われ、次のような発言がありました。
 
 
 
 

①エネルギー問題一つとっても、太陽光発電、風力発電、小水力発電、廃棄物発電等、それぞれに所管が異なり、地域にとって最適なエネルギー施策の展開が阻害されている。研究分野においても然りである。トランスサイエンスの問題として、分野横断的な視点をもって科学技術を組み替える試みが必要。例えば「シビルエンジニアリング学」などの新たな学問分野の開拓が望まれる。

②これからの社会は「循環型定常社会」に移行していくであろう。そうした社会をデザインし、マネージメントする主体が肝心である。まちづくり協議会等が挙げられる。京都スマートシティエキスポ、あるいは、KGIフォーラムなどもその一翼を担うであろう。千年の都、京都には「絡みの世界」ともいえる社会が形成されている。ネットワーク型都市として、次代の都市・まちづくり

③「農業」の後継者問題が取り沙汰されているが、「家族」単位ではなく、「地域」として農業をどのように位置付けるかの問題である。政策的には大規模農業が話題となっているが、小規模農業の意義を、地域の在り方と関連付けて深く考えるべきである。そのことを通じて、農村指向の若者を育て、地域の再生につなげることが重要である。






ジオラマ制作ワークショップ/エキジビション・交流懇談
“未来都市「スマートシティ」は、生命の循環に支えられて”・・・。
「森のねんどの木津川物語」―未来都市編―

KGIサイエンス&アート・カフェ 
人形作家 岡本道康氏の主宰による
「森のねんどの木津川物語」―未来都市編―

第 2 回「対話型講演会」のテーマ「流域の思想と風土の力」に即し、地域の自然に育まれた特色ある文化を造形化することを掲げてのジオラマ制作ワークショップ





■ 12 時 30 分から 14 時 30 分までの 2 時間、「KICK」1階「交流サロン」で、ジオラマ制作ワークショップが、街づくりに携わっている市民の方々、あるいは、LOHAS タウンに関心を寄せる同志社大学の学生の方々等、20 名を超える多様な人々の参加を得て開催されました。

■ 自然との共生、エネルギー利用の効率化、地域の歴史を踏まえたまちづくりなど、参加者のまちづくりに寄せる思いを語り合い、各人のイメージする「まち」を造形化。森と海の日本の山野をイメージした「森のねんど」の基台に、山、川、道等に沿って家屋、樹木等のパーツを配置しながら、「未来都市(スマートシティ)」のイメージを膨らませました。

■ “未来都市「スマートシティ」は、生命の循環に支えられて”・・・。人形作家岡本道康氏のメッセージに誘(いざな)われながら、自ら造形することの楽しさを味わうことのできた一時でした。こうしたジオラマ制作活動、継続して行いたいとの思いをそれぞれに抱きながら、その日のワークショップを終えました。

■ 午後 5 時 30 分から、エキジビション、交流懇談が、KICK1階「交流サロン」で、各講演者の参加を得、KGIフォーラム代表代行の池内先生の乾杯の音頭で開始されました。ジオラマ制作ワークショップ作品のほか、自動運転 EV 車が走行し、あるいは交通制御システムを組み込んだジオラマ、暮らしの情景を表現した「森のねんどの物語」作品を展示。それらを見入りながら、未来都市やふるさとづくりへの想いを交換しました。
 
 
 
 
 
 
 
 





パネル展「森のねんどの物語」
「未来都市」と「ふるさと」をつなぐ。 「森のねんどの物語」、その可能性を探る。


6 月 2 日、3 日の 2 日間、KICK1階「カフェ・スペース」の壁面、幅約20メートルの大衝立看板に、「森のねんどの物語」のパネル25枚(人形作家岡本道康作)を展示。行き交う人々の関心を誘いました。




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